腹膜透析について
自宅でできる透析治療を、
安心・安全にサポート
腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis)は、患者さまご自身の腹膜(おなかの内側にある薄い膜)を利用して血液を浄化する透析方法です。腹部に挿入された専用カテーテルから透析液を注入・排出することで、老廃物や余分な水分を体外に排出します。
在宅で実施できることから、通院の負担を軽減できる選択肢として注目されています。
日本では、透析を受けている人のうち、約3.1%の方がこの腹膜透析を選んでいます。(2023年日本透析医学会統計調査報告書)

腹膜透析の主な2つの方法
CAPD(連続携行式腹膜透析)
CAPDは、1日に3~5回、透析液を入れ替える方法です。1回の交換にかかる時間は約30分です。
朝・昼・夕方・寝る前など、自分の生活に合わせて透析ができるのが特徴です。交換は患者さんご本人やご家族がご自宅で行います。

APD(自動腹膜透析)
APDは、主に寝ている間に機械が自動で透析液を交換してくれる方法です。
日中は自由に過ごせるので、仕事や学校がある方に向いています。腹膜透析を受けている人の約40%がこの方法を使っています。
また、夜だけでなく昼間も透析液をおなかに入れておく方法(CCPD)もあります。

腹膜透析の特徴
- 毎日少しずつ透析を行うので、体への負担が少なく、腎臓の本来のはたらきに近い安定した治療
- 体の状態が安定していれば、病院への通院が少なくなる
- 透析液の交換はご自宅や職場、学校などで、患者さんご本人やご家族が行うため、生活のリズムに合わせて治療が可能
- 人によって違いはあるが、腹膜透析を続けることで、残っている腎臓の働きを長く保つことができる
- 腹膜透析を始める前に、「カテーテル」という細いチューブを腹部に入れるための手術を行う
※この手術はあらかじめ予定を立てて行われます
腹膜透析と血液透析を組み合わせた治療
腹膜透析と血液透析を組み合わせて行う「併用療法」という治療法もあります。
- ふだんは腹膜透析を続ける
- 1~2週に1回病院で血液透析を受ける
というように、両方のよいところを活かす治療です。この併用療法には、次のようなメリットがあります。
- 腹膜への負担を減らすことができる
- 体の状態をより安定させやすくなる
- 自分に合った透析スタイルを保つことができる
併用療法を行うかどうかは、体の状態や腹膜透析の効果などを見ながら、主治医と相談して決めていきます。
合併症について
腹膜透析に伴う腹膜炎、カテーテル出口部感染・トンネル感染、被嚢性腹膜硬化症(EPS)などの合併症に対しては、日常的なチェックや指導、定期的な診察を通じて早期発見に努めております。万が一合併症が疑われる場合には、速やかに機関病院と連携し、適切な治療につなげます。患者さまが安心して腹膜透析を継続できるよう、サポート体制を整えております。
PDファースト・PDラスト
PDファースト
透析治療が必要になったときに、まず最初に腹膜透析(PD)を選ぶという考え方です。
腹膜透析は自宅でできて生活の自由度が高く、腎臓の残っている働きを長く保ちやすいといった利点があります。
PDラスト
これまで血液透析(HD)を受けていた方が、何らかの理由で血液透析が難しくなったときに、選択肢として腹膜透析を取り入れるという考え方です。
たとえば、血管が弱くなって血液透析ができなくなった場合などに有効です。
患者さんの体調や生活に合わせて、腹膜透析をどのタイミングで取り入れるかを考える方法です。
どちらの方法が合っているかは、人それぞれの体の状態や生活スタイルによって違います。
当クリニックは、お一人おひとりの一番無理のない、安心して続けられる透析の方法を一緒に考えていきます。
診療体制について
当院では、月~木曜日 10時~16時に腹膜透析外来を開設し、完全予約制(祝祭日は休診)の診療体制をとっています。
診察では以下の点を丁寧に確認します。
- カテーテル出口部の状態確認
- ご自宅での自己管理状況「PDノート」の内容チェック
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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10:00 – 16:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | / | / |
※完全予約制 / 祝祭日休診
また、自宅での看護介助が必要な方には、腹膜透析にも対応できる訪問看護ステーションと連携をとりスムーズな在宅環境をサポートします。また、腹膜透析患者は合併症のリスクが高いため、2週間に1回の定期受診を推奨しています。その際には当院送迎車を利用ください。
教育とサポート
腹膜透析は自己管理が治療継続の鍵です。
当院では、腹膜透析認定看護師が中心となり、以下の指導・支援を行っています。
- 正しいカテーテル管理方法の指導
- 災害時の備えや緊急時対応についての教育
- 入院・外来の継続支援(PDチームによる情報連携)
患者さまが安心して在宅透析を継続できるよう、多職種チームでサポートしています。
検査とモニタリング
定期的な検査を通じて、安全なPD生活の継続をサポートします。
- 血液検査、レントゲン、心電図の定期実施
- 骨密度検査・心臓エコー・腹部エコーなどの合併症モニタリング
八尾市で腹膜透析に関心のある方、まずはお気軽にご相談ください。
