※本記事は前編です。
アダカラム(GMA療法)による
新しい治療のご案内~ 潰瘍性大腸炎・クローン病などの
難治性腸疾患の方へ ~
寺川クリニックでは、**潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)などの患者様を対象に、アダカラム(Adacolumn)を用いた「GMA療法(白血球除去療法)」**を実施しています。
この治療は、体外循環によって、炎症の原因となる白血球(顆粒球・単球)を除去することを目的とした治療法です。
対象疾患(保険適用)
疾患名 | 対象となる方 |
潰瘍性大腸炎(UC) | 寛解導入・寛解維持(既存薬で効果が不十分な方) |
クローン病(CD) | 大腸型・小腸大腸型で既存療法が無効な方 |
膿疱性乾癬(GPP) | 中等症以上で薬物療法が効かない方 |
関節症性乾癬(PsA) | 既存薬が効かない方 |
GMA療法(アダカラム)とは?
- 使用するカラム(アダカラム)は酢酸セルロースビーズで構成されており、炎症に関わる白血球を選択的に除去します。
- 全身への薬剤負担が少なく、副作用が少ない点が特徴です。
- 治療は週1回、1回60分程度で、外来通院での実施が可能です。
治療では血液をカラムに通過させた後、
体内に戻します。
免疫における白血球の役割
免疫機能とは、本来病気を防ぐ体のしくみで、病原体から体を守っています。その仕組みの主役は白血球です。白血球は、「単球」「リンパ球」「顆粒球」に大きく分けられ、それぞれ働きが異なります。
単球は、体に入ってきた細菌や異物などを食べて、その情報をリンパ球に伝えます。するとリンパ球は、免疫を活発にする物質を放出したり、病原体への武器となる抗体を産み出す細胞に変化するものも現われます。
また反対に免疫反応を調節し、炎症反応を抑えるリンパ球もあります。顆粒球は白血球の中で最も数が多く、体内に入ってきた異物や細菌を食べ、体を守る最前線として働いています。ただし、過剰に増えると活性酸素やタンパク質を分解する酵素などを放出し、自分の組織さえも傷つけてしまうこともあります。
白血球を採取する目的
本来は身体を守るはずの免疫機能に異常が生じることにより引き起こされる病気を自己免疫疾患と呼びます。潰瘍性大腸炎、クローン病では大腸や消化管に白血球(特に顆粒球)が集まって炎症を起こします。膿疱性乾癬や乾癬性関節炎においても、病変部位に白血球が集まり、炎症を起こしています。
顆粒球吸着療法は、活性化して炎症を起こしやすくしている顆粒球・単球に対して、次のような2種類の働きによって、炎症をしずめていく治療法です。
顆粒球吸着療法
(GMA / GCAP)の働き
- ①カラムの中で、炎症の原因となる顆粒球・単球を吸着除去します。
- ②カラムを通過した白血球が、炎症を起こしにくい白血球へと機能が変化します。
ご相談・診療のご案内など、
お気軽にお問い合わせください。
出典:JIMRO社作成『顆粒球吸着療法ガイドブック』より
後編:治療の流れと治療スケジュール