睡眠は健康維持に欠かせない要素であり、質の良い睡眠は免疫力向上や生活習慣病の予防、精神的安定に寄与します。しかし、多くの人が不眠や浅い眠りに悩まされており、その改善には医療的アプローチが有効です。本記事では、快眠のための医療的アプローチを紹介します。
1. 生活習慣の見直しと行動療法
医療機関では、不眠症に対して「認知行動療法(CBT-I)」が推奨されます。これは、睡眠に対する誤った認識や習慣を見直し、規則正しい睡眠を促す手法です。具体的には、「毎日同じ時間に起床する」「寝る直前のスマートフォン使用を控える」といった指導が行われます(Morin et al., 2006)。
2. 医薬品の活用
睡眠薬は一時的な不眠の改善に有効ですが、長期使用は依存のリスクがあるため、慎重に使用する必要があります。最近では「メラトニン受容体作動薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」など、依存リスクが低く自然な睡眠を促す薬が登場しています(Sateia et al., 2017)。
3. 医療機関での専門的評価
睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害は、放置すると高血圧や心疾患のリスクを高めます。医療機関で「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を受けることで、睡眠の質を客観的に評価し、適切な治療を受けることが重要です(Patil et al., 2019)。
4. 光と温度の調整
睡眠の質を向上させるためには、光と温度の調整も重要です。日中に太陽光を浴びることで体内時計が整い、夜間に深い眠りに入りやすくなります。また、就寝時の室温は18〜22℃が推奨され、快適な環境を整えることが求められます(Czeisler, 2013)。
まとめ
快眠を得るためには、生活習慣の改善、医薬品の適切な活用、医療機関での評価、睡眠環境の調整が重要です。不眠が続く場合は、医師や専門家に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
参考文献
Morin CM, Bootzin RR, Buysse DJ, et al. Psychological and behavioral treatments for insomnia: update of the recent evidence. Sleep. 2006;29(11):1398-1414.
Sateia MJ, Buysse DJ, Krystal AD, et al. Clinical practice guideline for the pharmacologic treatment of chronic insomnia in adults. J Clin Sleep Med. 2017;13(2):307-349.
Patil SP, Ayappa IA, Caples SM, et al. Treatment of adult obstructive sleep apnea with positive airway pressure: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335-343.
Czeisler CA. Perspective: casting light on sleep deficiency. Nature. 2013;497(7450):S13.
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