# 152/200 口腔ケアの大切さ:誤嚥性肺炎を防ぐために

口腔ケアは、単に口の中を清潔に保つだけでなく、全身の健康を維持するうえでも重要な役割を果たします。特に高齢者や嚥下機能が低下している方にとって、口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に不可欠です。近年の文献でも、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発生率を低下させることが報告されています。本記事では、そのメカニズムと具体的なケア方法について考察します。

誤嚥性肺炎の原因と口腔内細菌の関係
誤嚥性肺炎は、口腔や咽頭に存在する細菌が唾液や食物とともに気管に入り込み、肺で感染を引き起こすことで発生します。加齢や脳血管障害、パーキンソン病などにより嚥下反射や咳反射が低下すると、これらの細菌を体外に排出できず、肺炎のリスクが高まります。特に、口腔内にプラーク(歯垢)が蓄積されると、肺炎の原因菌であるグラム陰性桿菌や嫌気性菌が増殖しやすくなります(Scannapieco, 1999)。

口腔ケアの予防効果
藤島一郎(2011年)の研究によれば、専門的な口腔ケアを行うことで高齢者の誤嚥性肺炎の発症率が有意に低下したことが示されています。口腔ケアには、歯磨きや義歯の清掃に加え、口腔粘膜や舌の汚れを取り除くことが含まれます。これにより、細菌の数が減少し、誤嚥時の感染リスクを抑えることができます。さらに、口腔ケアは唾液分泌を促進し、自然な自浄作用を強化する効果もあります。

効果的な口腔ケアの方法
効果的な口腔ケアを行うためには、以下のポイントが重要です。
歯磨き: 毎食後、柔らかめの歯ブラシを使用し、歯と歯茎の境目を丁寧に磨きます。歯磨き粉はフッ素入りを選ぶとより効果的です。
舌の清掃: 専用の舌ブラシを用いて舌苔(ぜったい)を取り除きます。これにより、口臭や細菌の繁殖を抑えられます。
義歯のケア: 義歯は毎日取り外し、専用のブラシで清掃し、洗浄剤を使用して消毒します。
口腔保湿: ドライマウス(口腔乾燥症)の場合、保湿ジェルやスプレーを使用して口腔内を潤し、細菌の付着を防ぎます。

結論
口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防だけでなく、全身の健康を守るためにも重要です。特に高齢者や嚥下機能が低下している方にとって、日常的な口腔ケアの習慣化は健康寿命を延ばす鍵となります。医療従事者や介護者は、適切なケア方法を理解し、患者や利用者に指導することで、誤嚥性肺炎のリスクを大幅に軽減できます。これからも口腔ケアの重要性を広く伝え、健康維持に貢献していきましょう。

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